一般社団法人日本小児東洋医学会は、公益社団法人日本小児科学会の分科会であり、小児東洋医学の学術振興、知識の普及・啓発を通じ、小児医療への貢献を目指しております。また、志を同じくする会員相互の交流、情報交換を通じ、小児東洋医学分野での学術振興、人材育成、知識の普及、診療の質の向上に寄与いたします。さらに、広く一般市民、患者、保護者への情報提供等を行い、小児東洋医学の認知度を高め、より多くの子ども達が、小児東洋医学の恩恵を受けられるよう、活動をしております。
以上の目的を遂行するために、毎年、学会誌発刊、学術集会の開催を行っております。また、東洋医学を取り入れた小児科診療に関する、小規模のセミナーを随時開催しております。さらに、市民への情報提供として、市民公開講座を企画、開催しております。
また、今後は新しくなりましたホームページにおいても、広く情報を提供して参ります。
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小児の各種疾患に対して、適正な薬物療法を示し、治療効果を上げることが広く求められています。漢方治療のエビデンスが十分でない現状において、日本小児東洋医学会では、処方の手引きを作成して、治療者の便宜に役立てることを目的として、「小児漢方の手引き」を発刊しました。2014年に初版を発行して、2022年現在、第3版に至っています。
目 次
- ・・・・・ 和田恵美子
- 小児漢方治療の手引き発刊に寄せて
- ・・・・・ 崎山 武志
- 出版の目的
総 論
- ・・・・・ 青山 重雄 1
- 1.小児科漢方の歴史
- 2.漢方薬の使い方
- ・・・・・ 山口 英明 6
- 1)漢方薬の使用根拠
- ・・・・・ 山口 英明 9
- 2)薬効による使い方
- ・・・・・ 崎山 武志 15
- 3)小児の腹診
- 3.漢方薬の薬理―効き方・効かせ方
- ・・・・・ 田代 眞一 17
- 1)漢方薬の薬理
- ・・・・・ 稲垣 直樹 20
- 2)漢方薬の効かせ方―現代薬理からの解析
- 4.漢方薬の飲ませ方
- ・・・・・ 森 蘭子 23
- 1)内服・坐薬
- ・・・・・ 齋藤 陽 25
- 2)母子同服
- ・・・・・ 宮川三平、
山口英明、崎山武志 27 - 5.子どもにおける漢方薬の副作用について
各 論
- ・・・・・ 山岡 秀樹 29
- 1.風邪・気管支炎の漢方治療
- ・・・・・ 黒木 春郎 32
- 2.インフルエンザ
- ・・・・・ 木村 康子 33
- 3.鼻閉・いびき・咽頭扁桃炎
- ・・・・・ 豊川 達記 35
- 4.嘔吐・下痢
- ・・・・・ 森 蘭子 37
- 5.胃腸炎
- ・・・・・ 森 蘭子 39
- 6.腹痛・便秘
- ・・・・・ 佐守 友仁 41
- 7.アレルギー性疾患
- ・・・・・ 本城美智恵 43
- 8.小児気管支喘息
- ・・・・・ 佐守友仁、崎山武志 45
- 9.湿疹・アトピー性皮膚炎
- ・・・・・ 岩間 正文 47
- 10.夜尿症
- ・・・・・ 宮川 三平 49
- 11.子どもの慢性糸球体腎炎・ネフローゼ症候群
- ・・・・・ 鈴木 順造 51
- 12.浮腫、脱水症(熱中症)
- ・・・・・ 青山 重雄 53
- 13.起立性調節障害
- ・・・・・ 田内 宣生 55
- 14.不整脈・心疾患
- ・・・・・ 西村 甲 55
- 15.夜泣き・チック・神経過敏・寝ぼけ
- ・・・・・ 西村 甲 57
- 16.過換気症候群・痙攣・てんかん
- ・・・・・ 川嶋浩一郎 59
- 17.神経症食思不振症・摂食障害
- ・・・・・ 川嶋浩一郎 61
- 18.不登校・家庭内暴力・適応障害
- ・・・・・ 川嶋浩一郎 63
- 19.自閉症スペクトラム障害(ASD)・発達障害
- ・・・・・ 岩平 久幸 65
- 20.重症心身障害児
- ・・・・・ 崎山 武志 67
- 21.虚弱児・虚弱体質
- ・・・・・ 崎山 武志 70
- 22.水太り・肥満・Ⅱ型糖尿病と食養
- ・・・・・ 崎山 武志 71
- 23.冷え性
- ・・・・・ 鈴木 順造 73
- 24.自己免疫疾患
- ・・・・・ 和田恵美子 75
- 25.小児がんおよびその他の血液疾患
- ・・・・・ 崎山 武志 77
- 26.小児救急外来の漢方
- ・・・・・ 大谷 俊樹 79
- 27.小児外科領域の漢方
- ・・・・・ 古賀 実芳 81
- 28.思春期
- ・・・・・ 梁 哲成 83
- 29.弁証論治による日本漢方医療用エキス製剤の臨床応用
- ・・・・・ 85
- 索引
- ・・・・・ 崎山 武志
- おわりに
日本の漢方医療は、西洋医学的な診断・治療に加えて漢方薬を処方することができるため、世界に類をみない医療システムです。日本の伝統医療である漢方薬は、本来なら漢方的な診断を行った後、処方するのが原則です。しかし、診断法も流派による違いがあることや方剤だけでなく煎じ薬などの処方形態が異なることなど、必ずしも一定の見解を求めるまでに至っていないため、ガイドラインを作成できるほどのエビデンスが蓄積されていません。しかし、小児科で扱う病気に対する漢方治療の手引きがあれば、漢方を専門としない小児科医が手元に置いて使用することで、子どもたちにとって有益性が高いと考えられます。実際には、小児科の日常診療において、医療用漢方エキス製剤が処方の中心となっているため、この手引きでは、医療用エキス製剤に限定しました。
本書の発刊には、漢方診療に精通した多くの先生方の協力を得て、発刊しました。この場をお借りして深謝申し上げるとともに、多くの小児科だけでなく内科や薬剤師の先生方にも広く参考にして頂ければ幸いです。
本手引き書の購入は、学会事務局(jpoms@med.shimane-u.ac.jp)までご連絡ください。